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2015.06.24 副院長日記
本当の気持ち
いつも治療を頑張ってくれるKくん。
まだ3歳なのに、
『あーん』と上手にお口をあけて、
ちゃんと治療をさせてくれます。
そんなおりこうなKくんが、
今日は『いや。しない。』の一点張り。
どうしたのかな?
お母さんが、出産で入院しているので、
最近はずっとおばあちゃんと来院していたKくん。
今日はお父さんと一緒だから、甘えちゃってるのかな?
Kくんとしっかりお話しさせてもらうために
お父さんにお話しして二人にしてもらいました。
二人になってからも、ずっと
『いやだぁ。おうちにかえる~』と泣き続けるKくん。
『もう3さいのおにいちゃんでしょ。がんばろう。』
『泣いてたらパパのところいけないよ。』
なにを言っても、
『いやだぁ、いやだぁ。』と大暴れ。
のけぞり、涙はあふれて止まりません。
最近思うこと。
それは、こどもたちが泣いたり嫌がったりするのには、
必ず理由があるということ。
『Kくんはなんでないてるのかな?』
私もしっかりKくんに向き合って考えてみました。
ずっとお母さんと離れて頑張っているKくん。
まだ3歳で甘えたいはずなのに、いっぱい我慢もしてるんだろうな。
ぎゅっと抱きしめてKくんの言葉に耳を傾けました。
『いやだぁ、いやだぁ。』
『いやだよね、歯医者さん。なんでいやなの?』
『だって、パパのとこいきたい。』
『そうだね、パパのとこいきたいね。パパ好きだもんね。』
『パパがすきなのぉ。ママがすきなのぉ。ママにあいたいのぉ。』
『うんうん、ママも好きだもんね。会いたいね。
どうしたら会えるの?先生わからないから、泣かないで教えて。』
『パパにおねがいするぅ。かえるぅ。ママにあいたいのぉ。』
『じゃぁ、今日は泣いちゃったし、もうできないってパパにお願いにいこっか?』
『うん。おねがいするぅ。ママにあいたいのぉ。』
『ママに会いたいね。Kくんお兄ちゃんで、いっぱい頑張ってるもんね。』
『ママがすきぃ。さみしいよぉ。』
そういって今度はKくんが、ギュッとしてくれました。
Kくん歯医者さんが嫌なのではなく、
淋しくて、自分の気持ちが整理できなかっただけなのです。
私のかけた『頑張れ』っていう言葉は間違いでした・・・
『Kくん、ママにかっこいい歯みせよっか?
ハミガキシュッシュだけして帰ろう。』
『うん。がんばる。』
涙はもうとまっていました。
それからはいつものKくんでした。
ハミガキだけといっていたけど、
治療もちゃんと頑張って、
にこにこ笑顔で帰っていきました。
こどもたちも、言葉にうまくできない色々な感情を抱えて
日々頑張っているのですね。
『なんで、できないの。』
『頑張りなさい。』
そういって、やらせるのは簡単だけど、
その奥にある本当の気持ちに気づいて
優しく背中を押してあげられる
そんな小児歯科医でありたいなと思うのです。
まだまだ理想にはほど遠いけど、
Kくんのお陰で、忙しい毎日の中で忘れかけていた
自分の『本当の気持ち』にも気づけた気がします。
Kくん、ありがとう♡
くま歯科・こども歯科をはじめたときの 『本当の気持ち』を これからも大切にしていきたいなぁ |